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と尋ねられることがあります。
僕は、「自分の身体、家族が鍼でよくなった!」「憧れの先生がいる!」「どんな病でも治せる治療家になる!」など高い志など無く、
「身体をマッサージする仕事がしたい、家族にできればいいかなぁ。ついでに鍼灸の国家資格も取れるならついでに取っておこう」という程度でした…
入学し、幸運にも師匠との出会いがあり希望いっぱいのスタートでしたが、
いざ、修業・勉強が始まると
本当にどうしようもない自分で、無知で怒られ教えてもらい、怒られ助けてもらい、たまに褒められ調子に乗り反省し、ビクビクしながら何とかどうにか学生時代の修業を続けていました。 卒後も自身の治療院を構える事は全く頭にありませんでした。
開業を決めた理由は、卒業直後の東北大震災の時です。
ボランティアに連れて行ってもらい、そこでおこなった三年間の鍼灸治療は驚きの連続でした。
自分の治療を受けた方に「楽になったよ」と笑顔で少し目を潤ませながらお礼を言ってもらえたこと。厳しい顔つきだった方が、治療を続けるとポツリポツリと色々な事を話してくださり、「助かります、ありがとうございます」と表情を緩め言ってもらえたこと。自分の治療で身体が良くなるということが実感でき、鳥肌が立ちました。
本来プロなら当たり前のことですが、当時の自分にとってはとても大切で貴重な瞬間でした。
目の前に困った患者さんがおり、
任され逃げられない立場、どうにか楽になってもらいたいと真剣に思い、本当に患者さんと向き合ったのも、恥ずかしながらこの時が初めてだった気がします。
自分の治療で表情、姿がみるみる変わる様子を見て、一か月後の治療を楽しみに待ってくださっている方がいると知り開業を決心しました。
それまでは誰かに守られて、切羽詰まっていない状況に甘えていたと今は思います。
本当に困っている状況、どうにかして楽になってもらいたい、自分にそんな強い気持ちがあること、そのエネルギー・疲れは自分にとって良いもの、力になる事が分かりました。
今ある技術、知識、自分で何ができるのか、どうしたら、どうよくなるのかを集中して考えながら丁寧に最善の治療することが大切な事を知りました。
できないことも多くあるけれど、今できること、今しか、その時にしかできないことも多くあること。もっともっと腕を磨き、知識を得たいと強く思ったのもこの時でした。
入学前の自分を「そんな甘い考えならやめた方がいい」と頭にげんこつを食らわせて教えてやりたいです。
今思うと、
自分の強い意志で、道を決めた訳ではありませんが、
沢山のご縁や、その時やるべきことに導かれ今があると思いました。
強い意志で道を強く開くことも素晴らしい事ですが、
僕は、その時のやれることをやり、流され、任せ、導かれることも同じくらい素晴らしい事だなぁと思っています。
今までは、目的地を決め、「やってやろう!」と、苦しんで迷いながら進んでいましたが、
できない時、わからない時は、やるべきこと、やれることを行い、待ち、頑張り過ぎなくてもいいのかなと。
迷って苦しんでいる時は、辞めず、考えるべきことだけは一通り考えられればいいのかなと。
落ち着いたら、また決めて、また進むべき方向、行きたい場所へ進めばいいと思います。
その方が、普通の人はこころが健全でいられるのかなと思います。
いつもしっかりと心と身体を健全に保ち、そんな自分であれればいいなと思います。
話はずれましたが、
東北大震災での三年間が自分にとって本当の意味で「治療家、鍼灸師になりたい」と思った始まりです。
顔面神経麻痺になり、
医師から「顔に刺激を与えないで下さい」と言われることがあります。
その際の刺激とは
「顔全体を自分で無理やり強引に動かすこと」
「電気鍼(パルス治療)による鍼灸治療」を指すと思われます。
その二つの治療法は、必要以上に様々な筋肉を一緒に動かしてしまい、別々に筋肉を動かすことができなくなってしまったという例があるため、医師の中には刺激禁止と勧める方が少なくありません。
(※目の筋肉と口の筋肉を強引に一緒動かしてしまったため、目と口が一緒には動くが別々には動かなくなってしまったり。ビートたけしさんなど)
当院は、単刺(鍼を刺して抜くだけ)という方法で施術を行いますので、医師の言う「刺激」とは全く違うものになりますので、ご安心下さい。また、一年以内の顔面神経麻痺に対しては鍼灸治療は最善の治療法の一つということは間違いありません。
発症三日後から1週間は症状が強くなることがありますが、発症から一日でも早く治療を受けられると回復も早まります。
医師に治療方法はありませんと言われても、諦めず是非鍼灸治療を受けてみて下さい。
花粉症を主な訴えとして治療に来られる方は少ないですが、
この時期から全身治療を行っていると、3月頃からの花粉症の症状が軽減されます。
年毎に花粉症は楽になっていきます。
外で一日中過ごさなければ、数日鼻水が垂れるくらい、数日後目が痒いくらいですむ方が増えております。
薬だけに頼りたくない方、少しでも花粉症を楽にしたい方、薬のような即効性はありませんが、花粉症だけでなく体質改善の良い機会になると思います。
年末に師匠への挨拶へ伺いました。
早めに到着し、いつものコーヒー屋さんで
毎年この時間は、緊張して、色々な出来事を思い出し、何とも言えない時間です。
ただ去年より少しだけ緊張は減っていたなぁと思います。
やることを今までより少しはやれていたのかなと。
楽しみなような、怖いような大切な時間だと文章にして思いました。
「先生の鍼のおかげで毎日仕事ができています」と報告でき、
その後食事中、同席していた長年のお二人の師匠の患者さんが
「もうこの年になったら、鍼を打たれながらポックリ死んだら最高だなぁ」
「昔、雑誌で鍼を打たれるために生きていると書いてあったものがあったが、今は本当にそんな感じだなあ」と会話されていた事に感動しました。
この一年は、本当に多くの治療家の方がいること、一瞬で悪いところを治してしまう凄い方、みなくても悪い所が分かる方、病院以上に最先端の科学医学があるいる事を知り、鍼灸には何ができるのかなぁと思うこともありましたが、
やっぱり鍼灸には、自分の仕事には、何かやれる事があると改めて実感しました。
教えていただいた全身鍼灸治療は、
症状を改善し、
身体と気持ちをマイナスからゼロに戻すだけでなく、
身体と気持ちをゼロからプラスにもできること。
健康、生活の質を上げ、自身の思うものに近づく手助けをすることができる。
それが全身鍼灸治療の一番の素晴らしい事、役目だと思いました。
「穏やかに、しなやかに、いきいきとした自分をいつも、いつまでも」
を実践できるための治療が、当院の鍼灸全身治療です。
これで今年も自信を持って鍼を持てそうです。
おかげさまで無事本年の診療をおえました。
年末年始はたくさんお休みをいただきご迷惑をおかけ致します。
年末は慌ただしいですが、
普段あまり言葉を交わさない方も、「お世話になりました」、「
年始は街が全体的にゆったりとしていて、堂々とお休みができて、空気も新鮮な気がして心が落ち着きます。
大大掃除をして、手帳を新調して、
千葉県野田市の奥で、不便な所にある当院ですが、来年も何卒宜しくお願い致します。
謙虚に、誠実に、自信を持って、治療にあたりたいと思います。
よいお年をお迎えください。
鍼灸栗原治療院
栗原 洋