- 施術コラム一覧 - 鍼灸による身体の変化・仕組み・効果⑤痛みが痛みを打ち消す【広汎性侵害抑制調整】
鍼刺激をすると痛みを抑制する仕組みがまだあります。
それが
DNIC(広汎性侵害抑制調整)と言われる身体の仕組みです。
痛みが痛みを抑制する現象です。
全身のあらゆる部位に加えた侵害刺激が本来の痛みの伝達を抑制します。
≪例≫
痛みが生じると、思わずその部位をさすったり、ほかの部位をつねったりして痛みを和らげようとします。
そして実際に少し痛みが和らぐ経験をした方も多いと思います。
これは全身の広範な部位に加えた侵害刺激により、
脊髄の神経(広作動域ニューロン:二次侵害受容ニューロン)の興奮が抑制されるからです。
※非侵害性の刺激でも、痛みが生じているところから離れたところを刺激すると痛みが抑制されます。
☆人には緊急性の高い痛み以外を調整して感じにくくさせる調整機構があります!
※身体中、全身緊急事態ではしんどい、回復への手が回らないため、
最優先の痛みや、今受けている刺激にひとまず対応しよう!
という感じでしょうか。
ですので
全身鍼灸治療や遠隔の鍼灸刺激に、痛みの鎮痛作用があります。
この痛みが緩和している間に、自分の治癒力によって症状のおおもとの原因を改善させます。
全身治療は、この鎮痛作用と根本原因への鍼灸刺激、血流改善などによる自己治癒力の底上げにより、
症状の緩和、根本原因の回復、そして、元気な身体をつくる手助けをすることができます。
ここからは鍼灸治療を受ける際の注意・起こることがあることです。
反対に、何らかの原因により
初めから身体にDNIC(広汎性侵害抑制調整)が作用した状態で鍼灸治療を受ける場合があります。
その場合、治療後、主訴が改善すると、他の場所の痛みや不快感を感じることがあります。
「元々の背中はよくなったが、その上と下が痛くなった」
「肩はよくなったが、腰が痛くなった」「左だったが右になった」
という場合などです。
ひどい肩こり首こりの方で、ひどい腰の方は腰の悪さを実感してないことがとても多くあります。
それは鍼治療によって、他の場所が痛くなったり、痛みが移ったりするわけではなく、
「隠れていた症状が出てきた」ことになります。
先生によっては「コリが浮いてきた、ツボが出てきた」と言ったり、
私の場合も「よかったですね、身体が変わってきましたね」とお伝えすることもあります。
一番痛いところが改善して、元々鎮痛されたいた悪いところを感じられるようになった状態です。
さらに、治療を重ねていけばどんどん身体はよい方向へ進んでいきます。
(何重にもいろいろな症状のある方は、一歩進んで、少し下がるを繰り返しながら前進していきます)
DNIC(広汎性侵害抑制調整)が作用すると
・鍼治療によってDNIC(広汎性侵害抑制調整)を利用した場合は、
緊急性の高い痛み以外の全身の鎮痛作用を起こします。
・鍼治療によってDNIC(広汎性侵害抑制調整)を解除した場合は、
他の箇所に痛みが出ますが、
それも改善させていけば、より良い身体になっていきます!
身体に余計な負荷、日ごろの疲れ・痛みを溜め込みすぎないようにしましょう。
大きな病気は急にはできません、日ごろの積み重ねです。
それらが大きな病の原因になることが少なくないと思います。